第6章 Murder on D street
「はぁ?」
乱歩に対して怒り混じりで言い放つ箕浦に対し、その言葉を全く理解できないとばかりに反応する乱歩。
「まだ判ってないの?名探偵は調査なんかしないの。僕の能力『超推理』は一度経視すれば犯人が誰で何時どうやって殺したか瞬時に判るんだよ。のみならず、どこに証拠があってどう押せば犯人が自白するかも啓示の如く頭に浮かぶ。」
「巫山戯るな。貴様は神か何かか!そんな力が有るなら俺たち刑事は皆免職じゃないか!」
乱歩の発言を戯れ言としか思えない箕浦が食って掛かる。
しかし乱歩はアッサリと言う。
「まさにその通り。漸く理解が追いついたじゃないか。」
「―――ッ!」
キッと乱歩を睨み付け、向かって行こうとするところを太宰が間に入って制止する。
「まあまあ刑事さん落ち着いて。乱歩さんは終始こんな感じですから。」
「僕の座右の銘は『僕がよければすべてよし』だからな!」
そんな空気を壊すように、にこやかに言う乱歩。
「座右の銘聞いてこんなに納得したの初めてだ……」
敦が呆れ気味で乱歩を見る。
因みに。
敦の座右の銘➡生きているならいいじゃない
太宰の座右の銘➡清く明るく元気な自殺
紬の座右の銘➡清く明るく愉しい自殺
「そこまで云うなら見せて貰おうか、その能力とやらを!」
そんな3人をよそに箕浦が言う。
「おや、それは依頼かな?」
「失敗して大恥をかく依頼だ!」
怒鳴るように言う箕浦の言葉にニッと笑みを浮かべる乱歩。
懐から眼鏡を取り出す。
「あっはっは。最初から素直にそう頼めばいいのに。」
「ふん。何の手がかりもないこの難事件を相手に大した自信じゃないか。60秒計ってやろうか?」
「そんなにいらない。」
ニイッと笑って言い放つ。
「敦君、紬よく見てい給え。探偵社を支える能力だ。」
「……。」
乱歩さんの異能……『事件の真相が判る能力』本当にそんなものがあるのか……!?
敦は太宰に云われて乱歩に注目する。
乱歩が眼鏡を掛ける。
紬が乱歩の傍に歩み寄る。
その行動のタイミングが全て重なる。
そして、乱歩が云った。
「異能力―――『超推理』」