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【文スト】対黒

第5章 ヨコハマ ギャングスタア パラダヰス


「銃弾が飛来し着弾するまでの空間を一部食い削った。槍も炎も空間が途切れれば僕まで届かぬ道理。」

な…そんなの…攻撃の仕様が無いじゃないか!

抵抗する術を絶たれて、言葉が出てこない敦。

「そして僕、約束は守る。」


芥川の黒獣が敦の左足を下半分、食いちぎった。

「ぎゃあああああ!」

敦は絶叫し、その場に倒れた。

そんな時だった。



「やれやれ。生け捕りというのは五体満足で捕獲することではないのかい?」



「「!?」」

突如湧いてきた声の方を勢いよく振り返る芥川と樋口。

その声の主の姿を捉え、

「貴女は探偵社の……!買い出しに行ったのではなかったのですか!?」

樋口は大声で問い質し、

「なっ……」

芥川は驚きのあまり声を詰まらせた。

そして、樋口は隣の人物の様子がおかしいことに気付く。

「芥川先輩……?どうされ……」

「何故……この界隈に戻って……否、最初からこの界隈に居たのか……?」

混乱している二人をよそに
声の主……紬は血塗れの谷崎兄妹の元へ歩み寄る。

「大丈夫かい?」

「ナオ…ミの…ほ……が」

朧気な意識の中、必死に妹を心配する谷崎。

「直ぐに止血しよう。」

ポンポンと谷崎の頭を叩き、傷口に触れた。
そして、ナオミの方にも歩み寄る。

「「………。」」

その光景を黙って観ている二人。

ナオミに触れてから漸く、紬は芥川と樋口の方を見る。

「買い出しに行く積もりだったのだけどね」

「!」

樋口の質問に答える気らしい。

「何故です!?何故貴女がっ……!」

「芥川先輩!?」

普段取り乱したりしないせいか芥川が叫んだことに驚く樋口。

真逆、先輩のお知り合いだったの!?

紬は、ふふっと笑って芥川達の後方に視線を移す。

「そんなことよりいいのかい?」

それに合わせたように物音がしたため、芥川も樋口も其方の方向を見る。

「「!」」


其処に居たのは―――

壁の側面に重力に反して、四つん這いの体制でいる敦だった。

芥川の黒獣から喰い切られた足が再生し、その姿を白虎そのものに変えていく。

「そうこなくては」

完全に虎の姿に成った敦を見て、芥川が少し愉しそうに云った。


グオオオオオオォオ

唸り声を上げながら芥川に襲いかかる白虎、基、敦。
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