第5章 ヨコハマ ギャングスタア パラダヰス
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「アハハ。それは脅されましたねェ。」
探偵社を出て、女性の案内の元に現場に向かう敦と谷崎兄妹。それと
「笑い事じゃないですよぅ。兇悪なマフィアとか直ぐに死ぬぞとか……。途んでもない処に入っちゃった。」
「まァまァ」
「敦君の怯え振りには目を見張るものがあるねえ。偽の爆弾魔のすら退け腰だったし。」
「笑わないで下さいよー。抑も偽者って知らなかったし、けしかけたのだって太宰さん達じゃないですかあ。」
くすくす笑っている紬
「ふふ。じゃあ私は彼方に買い物に行くよ。敦君、初仕事頑張ってくれ給え」
「あ、はい。有難うございます」
3人は紬に手を振って見送る。
「ボクでも続けられてる位だから大丈夫ですッて」
「でも谷崎さんも『能力者』なのでしょう?どんな力なんです?」
「や、あんまり期待しないで下さいよ。戦闘向きじゃないンですから。」
「うふふ……。」
敦の問いに、自信無さそうに答える谷崎。
「兄様の能力素敵ですよ。ナオミあれ大好き。」
「止めなッてナオミ……こんな処で。」
そんな兄にピッタリ引っ付いてナオミが兄を誉めはじめる。
「あら?口応え?生意気な口はどの口かしら?」
公道と云うことを忘れているが如くイチャつくナオミ。
完全に2人の世界に入ったのを敦は黙って見るしかなかった。
弱冠、顔が赤い。
「着きました。」
そんな世界を壊したのは依頼主の声だった。