第39章 復職
「質問に答えろよ、なァ?何も難しいこと訊いてねえだろ?」
中也は更に傍に居る黒服の肩をポンと触れる。
そして、再度「云えねえのか?」と促すとガチガチと歯を鳴らしながら男が「……あ……あっ…」と音を発する。
ーーー云わなければどの道、死だ。
「きのっ………昨日………××さん………云わっ……資料!」
途切れ途切れの言葉を最後まで聞きいてやる中也。
「××の命令で資料室の資料を調べたンだな?」
その言葉に男は首がもげるほどに頷く。
そんな男に中也はニコッと笑みを寄越した。その顔を見て男も安堵の笑みを浮かべる。
そして、「ご苦労さん」と労いの言葉を最期に肉の塊に姿を変えた。
「××」
「っ!」
中也の呼び掛けに肩を上げて反応する××。
「手前は今日が初対面じゃなかったのか?」
「そ…そうですっ!○○がっ……素性の分からない人間に作戦を邪魔されたと連絡してきたからっ…」
「へぇ……。」
中也は○○に視線を移す。
その視線の圧に耐えられなかったのか思わず一歩後退りする○○。
「俺が彼奴の指示で動いてたンだ。ポートマフィアの人間なのは判っていたよなァ?」
「それはっ……!しかしっ、資料室で調べた結果、裏切り者だと分かったことは事実「本当にか?」………は?」
○○の言葉を遮る中也。
○○が凄い勢いよく××を見る。
しかし、××も態度は崩さない。
資料に間違いなんかあるわけがーーー
「彼奴、双子なんだよ」
「「っ!?」」
中也が○○と××に触れた。
「裏切り者は彼奴の片割れ。彼奴は『任務で長期不在していただけ』」
「嘘だ!!」
「嘘じゃねえよ。でないとあんなに堂々と此処に居れるわけねえだろーが」
○○と××が紬をチラリと見る。
「ホント、性格悪いよね首領」
「首領を悪く云うなや!」
「はいはい」
紬は肩をすぼめて適当に返事をする。
「いいか?一度しか云わねえから良く聞いておけよ」
視線が一気に中也に集まる。
「がっ……!?」
「っ…」
「「「「!?」」」」
ズンッ……!!
○○と××が床に平伏す。
何故、と眼で訴える連中に中也が口を開いた。
「彼奴の名前は太宰紬。『歴代最年少幹部』と云われている五大幹部が一人ーーー俺の相棒だ」
ミシミシと骨が軋む音が響く。