第39章 復職
「好敵手ならば彼に協力しているなんて可笑しな話だけど。君も欲しいんだろう?五大幹部という肩書きが」
「ええ。勿論」
「……。」
ニッコリと笑いながら否定しない××を紬はジッと見詰めた。
そして、何か合点がいったのか。
「ああ、そういうこと」と聞こえない程度の声でポソリと呟いた。
「話を進めよう。君達は五大幹部になりたい。それとこの拘束に何の関係があるのかな?」
「未だ分からんのか。御目出度い奴だな!」
「生憎、君のような人間の脳内なんか考えたくもないのでね」
ヘラッと笑って云った紬に更に苛立ちながら○○は銃を構える。
「貴様が何者か調べさせてもらった」
「ふーん。それで?」
「始末しても問題ないことが分かったからな!なに、昨日の借りをきちんと返してからと思ったんだよ!」
「首領も周知しているし、堂々と此処に居るのにかい?」
「関係無いな。昔から佳く云うだろう?『死人に口なし』ってな」
黒服の男たちが拷問器具を準備しながら紬との間合いを縮めていく。
「あー、成る程!『拷問で吐いた内容』を捏ち上げて処分したと云う報告をする心算か~」
閃いた!と云わんばかりにニコニコしながら云った紬に○○も××も、周りに居る黒服の連中も呆気にとられた。
今から拷問される人間の状況とはとても思えない。
「丁度良かった。死にたいなーって思ってたんだよ。でも痛いのは嫌いだから出来れば一思いに殺してくれないかな?」
「っ!?誰が貴様の要望なんか…!」
「そう?でもあまり時間は無いよ?」
紬は首を傾げながら云う。○○が「戯れ言を!」と叫ぶのを制止して××は冷静に問う。
「……時間が無い?何故ですか?」
「態々訊くのかい?『君の中の台本』にも書いてあるんじゃないの?」
「!?」
紬の眼が鋭くなる。
その表情に。その返答に。
○○は疑問符を浮かべていたが、××の冷静さが乱れた。
この女ーーー!
そう思ったが取り乱すわけにはいかない。
そう。凡て計画通りに運ぶためにはーーー……