第39章 復職
中也の執務室がある階で昇降機が開く。
「俺は首領のところに報告行ってくるから先に行ってろ」
「はぁい」
独りだけ昇降機から降りた紬は昇降機の扉が閉まるまで手を振って中也を見送った。
そして、昇降機が上へ動き出したことを確認して云われた通りの場所へ向かうべく方向を変えたところで異常が起きた。
「お?」
ザッと云う音と共に視界が真っ暗になったのだ。
視界だけではない。
何かを被せられて、拘束されたようだ。
この状態にするまでに数十秒も掛かっていない。
絶妙な連携の賜物だ。
ーーーなどと分析できるほどに紬は慌てもしなければ抵抗もしなかった。
そんな紬に疑問も持たないのか。
或いは、抵抗の有無など如何でもいいのか。
紬をその状態にしたらしい犯人たちは頭部と足元を素早く担いで、足早にその場を去っていった。