第39章 復職
「中也の動きは把握済みだよ」
「加減したンだよ!」
ふふんと笑う紬に怒鳴り、中也は舌打ちをすると帽子を被り直した。
其れを見て紬も話を戻す心算か「却説」と前置きする。
「向こうは『中原中也はこの殲滅に参加しない』と信じきっている」
「「「「「!?」」」」」
紬の発言に中也以外が固まった。
「それで想定人数の倍近くの人間が暴れてんのかよ」
「そ。我々に損害を与える絶好の機会だ、と息を巻いている」
「ハッ。手前の仕込みに気付かねェで全勢力注ぎ込んでくるたァ連中も大したことねえな」
「彼等が特別頭が悪いわけでは無いよ。私が凄いの!」
「へぇーへぇー」
煙草に火を靴底で消して一歩踏み出す。
段々と近付いてくる轟音や人の気配。
「全班に此方に誘導しながら撤退するよう指示してあるーーー頃合いだね」
クスクスと笑って云う紬と同じ様に、中也も愉しそうに笑った。
そして、
「ーーーーー行っておいで、中也」