第39章 復職
「随分な出迎えだなァ、おい」
「っ!?何をしている!早く銃を下ろせ!!!」
現れたのは五大幹部が1人、中原中也だった。
直ぐに膝を折り、敬礼する黒服達。
そんな連中になど目もくれずに○○の方へ歩み寄ってくる。
「無礼をお許し下さい。如何せん、未だ警戒中なものですから」
「別に。気にしてねェよ」
「それで一体、何故此処に?この案件は私が一任されたものですが」
そう云いながら、○○は中也の観察をする。
手に黒い布のようなモノを持っているだけで武装は一切していない。
ーーーとても戦闘に赴いたとは思いにくい状態だった。
「あ?でもお前、指揮代わってるじゃねえか」
そう云うと中也は紬の方をチラリと見る。
「否、断じて違いますよ!あの女が勝手に通信機を取って、私が送り込んでいる部隊をたった今、撤退させたんです!」
「……へぇ」
そう○○が云うと、中也は紬の隣まで移動する。
「ーーーそう。全員、A班の元だからね」
指示が一段落着いたのか、紬は通信機を首に掛けて中也の方を見た。
「おや。こんなところに何しに来たんだい?」
ニコッと笑いながら云う紬に、中也は持っていた黒い布を頭から被せた。
「わっ!一寸、なにこれ………って……」
「復職祝いだ」
布の正体は黒い長外套だった。
紬はふふっと笑って素直に肩に掛ける。
「丁度良かった。一寸寒いなーって思ってたんだよ」
「そりゃ何よりだ」
そんな2人のやり取りをポカンとした様子で見ている○○とその部下。
「で?」
中也が煙草に火を付けながら紬に問う。
「最悪だね」
「ふーん。如何するんだよ」
「態勢を立て直して迎え撃つ、といきたいところだけど『私の兵は貸せない』と云われてしまってね」
「……。」
その言葉に中也の眉がピクッと動く。
そして、ゾワリとした何かがこの場を染め上げる。
「まあでも良かったよ。私の忠犬は『予定通り』この場に居るし」
「だァれが犬だ!」
「あ、草鞋を懐で暖めていた偉人の如く長外套を持ってきたから猿の方が良かったかな!」
「手ン前ェ!」
回し蹴りを入れるも紬はそれをヒョイっとかわした。