第39章 復職
何が起こっている?
何故、制圧できない……
何故、戦況が悪い……
何故、戦況は悪化していく………!?
○○はカタカタと震えていた。
恐怖ではない。
成果を上げられていない前線に対する怒りで、だ。
「○○幹部、Cー1班との通信が途切れました…!」
「Dー3班もです!!」
開始から40分で、10に分かれていた部隊の3つと連絡が取れなくなっていたのだ。
「幹部っ!Bー1とも「黙れ!!」……っ!」
4つ目の音信不通の報告を聞いて、○○はついに怒鳴り散らした。
○○の護衛と称して配属されているこのA班の人間も混乱している。
そんな時だった。
「おや?もう始まっていたのかい?道理で騒がしいなーって思ってたんだよ」
「「!?」」
「っ!?誰だ!?」
突然、見知らぬ声が男達の耳に届き、一斉に銃口を向ける。
向けられた人物はおっと、と小さく云うだけで歩みを止めない。
「……女?」
白いブラウスに黒のボトムを着用し、笑顔で自身の隣まで歩いてきた人物を上から下まで見て、○○は云った。
「可笑しいなあ。首領から23時決行って聞いて珍しく遅刻せずに来たって云うのに」
「首領から……だと?………貴様、何者だ?」
「ん?私?私は太宰。太宰紬だよ」
「名を名乗れと云ったわけじゃ無い!何者だと訊いてるんだ!」
○○の怒鳴り声にうんざりしたのか。
耳をふさいで首を横に振り、声が聴こえなくなった事を確認して手を離した。
「此処にいるのだからポートマフィアの人間に決まってるでしょ」
「……真逆、増援が!?」
○○は一瞬だけ顔を歪めるが、戦況さえひっくり返すことが出来れば後の事は如何様にもなると瞬時に考えを変えた。
邪魔者は消せばいい………
「増援?うふふ。君は可笑しな事を云うね」
「っ!?」
そんな○○を嘲笑うように紬が云った。
その言葉に○○は激昂する。
怒鳴りこそしなかったが、みるみる顔が赤くなった。
そんな○○を見て部下達は冷や汗をかいている。
「まあ、いいや。もう始まってるんなら戦況の確認をしたいんだけど。詳しい人居ないかい?」
「~~~偉そうにっ……!」
「ん?もしかして君が『今』の指揮者?」
紬は○○ではなく、○○の頭にある通信機だけを見て会話をしているようだった。