第39章 復職
「じゃあ何でそんな噂が流れたんだか」
「噂を流した犯人が知りたいのかい?」
「まあ、な。俺や姐さんに並べる等と吹聴するなんざイタズラで済まされるわけねぇだろ」
「それはそうだけど。今まで空いていた席の事なのに何故『今』、こんな根拠のない噂が流れたのかーーーそれを考えたら犯人なんて直ぐに判るでしょ」
「……。」
中也は少し考える。
そして
「やっぱり手前ェが犯人じゃねーか!?」
そう中也が云うと紬はやれやれと首を横に振りながら溜め息を着いた。
「莫迦だとは思っていたけど、真逆、ここまでとは」
「ンだと!?……あァ!?ってことは矢っ張り先刻も莫迦にしてたんじゃねーか!」
ガタッと立ち上がって怒鳴る中也に呆れ眼を送りながら紬は口を開いた。
「だから私じゃないってば。居るでしょ?もう一人。そんなイタズラを行っても『絶対に』咎められない人間が」
「っ!?」
中也が驚く。
「真逆ーーーー首領が……?」
「中り」
よくできましたーと云いながらパチパチ手を叩く紬。
完全に馬鹿にした対応だが、中也はそれどころではない様子だった。
「一体、何の為に…!?」
「五大幹部の候補として挙げられている人物まで中也の耳に入ってきてるのかい?」
「ああ……確か○○と××つってたな?」
「○○と××……うん。矢張り私が知らない人物のようだね」
「そりゃそうだろ。手前等が居なくなってから入団して、幹部候補に上がった人間だぜ」
それと何の関係がある?
そう云わんばかりの視線を紬に送る。
「4年弱で伸し上がったとなると余程の有力者か、違う手を使ったかの2択だろうけど……恐らく2人とも後者じゃないのかい?」
「!………何で判る」
「私が元の席に座るーーーその事を納得出来ない人間が居る事を前提に考えればそう難しいことじゃ無いでしょ」
「……。」
まっ、納得せざるを得ない人間が殆どだろうけどねと笑いながら云う紬に中也はゆっくり歩み寄った。
そして、紬の胸ぐらをグイッと引き寄せて無理矢理立たせる。
「うわっ!?ちょっ……何!」
「手前の今日の任務は」
「え……」
紬が自力で立ったことを確認すると中也は手を離して問うた。