第4章 或る爆弾
「「会わせてあげたら?社長に」」
矢張り、息ピッタリの提案を国木田に投げ掛ける太宰兄妹。
「殺そうとするに決まってるだろ!それに社長は出張だ!」
暖気に云った二人に怒鳴る国木田。
となると……
「先ずは……」
「…………人質をどうにかしないと」
太宰兄妹が真面目に解答すると
真顔で3人が構える。
そして―――
「…………。」
真剣にじゃん拳をし始める様子を呆れながら見る敦。
ポンッ ぽんっ ぽんっ!
3回目。
にたぁ と笑う太宰兄妹に
ぐぬぬ……と苦虫を噛み潰した様な顔をする国木田。
どうぞ、と言わんばかりに犯人の方に手を向ける双子。その顔は満面な笑みだ。
「チッ」
コツコツと怒りながら出ていく国木田。
そして
「おい。落ち着け少年。」
説得すべく話しかけた。
が。
「来るなァ!吹き飛ばすよ!」
過剰な反応をする爆弾魔。国木田に起爆スイッチをひけらかす。
直ぐに両手を挙げて無害を主張する国木田。
「知ってるぞ。アンタは国木田だ!アンタもあの嫌味な『能力』とやらを使うンだろ!?妙な素振りをしたら皆道連れだ!」
物陰から窺う太宰兄妹。
「まずいねこれは。」
「ああ。探偵社に私怨を持つだけあって社員の顔と名前を調べてる。」
兄妹は顔を見合わせて考え込む。
「社員の私達が行っても余計警戒されるだけか……」
「却説、どうしたものか」
………。
そうして二人一緒に敦を見る。
それに気づく敦。
にやぁ
太宰兄妹の顔が悪い笑顔に変わった。
嫌な予感しかしない。敦は咄嗟にそう思った。
「社員が行けば犯人を刺激する。」
「となれば無関係で面の割れてない君が行くしかない」
嫌な予感が的中した。
「むむ 無理ですよ!そんなの!第一どうやって!」
必死に抗議する敦。
「犯人の気を逸らせてくれれば後は我々がやるよ。」
太宰がやるべき事を指示し、
「――そうだな。落伍者の演技でもして犯人の気を引いては如何かな」
紬が提案する。
「「信用し給え。この程度の揉事、武装探偵社にとっては朝飯前だよ。」」
ニコッと笑って云う太宰兄妹に、見事に言いくるめられた敦だった――。