第28章 己ノ終焉ヲ想ウ、歌
―――
チュンチュン……
鳥の囀りと朝日が紬を覚醒させた。
「……。」
朝。
それだけを認識し、起き上がった。
否。
起き上がろうとした。
「っ!?」
今まで感じたことの無い痛みが腰を襲い、少し浮かせた上体が再び布団へと戻る。
「急に起き上がるからだよ。大丈夫かい?」
「!」
そうして直ぐに身体に回された腕の持ち主の声に驚き、其方の方を向いた。
抱き寄せ、腰を擦る大きな手。
「……治……」
その顔を見た瞬間に熱が身体を巡る。
「うふふ。顔、真っ赤だよ?昨晩の事を思い出しちゃった?」
「っ…!!」
自覚していることを言い当てられ顔を布団に埋める紬。
そんな初々しい反応を示す紬に満足……
「紬。そんな可愛らしい反応をすると抑えられないよ」
を通り越して、欲情したのか。
太宰は布団を剥がし、再び紬に覆い被さった。
―――
チャプッ
「……治がこんなに意地悪だなんて知らなかった」
「意地悪なんてしてないでしょ。紬が良いと思うところを愛でただけだよ?」
「っ!」
浴槽に浸かりながら呟く紬。
顔を見られたくないのか、背を向けて浸かっているため仕方なく後ろから抱き締める太宰。
勿論、其だけでは飽きたらずに紬の身体を撫で回して唇を落とす事は止めなかった。
「それとも本当に厭だったかい?」
「……訊かないでよ」
判りきっている筈なのに。
矢張り、意地悪としか思えない質問を繰り出す兄の胸に顔を摺り寄せる。
その反応に満足しながら口付けを交わす。
「元に戻れなくても構わないよ」
「後悔する程に反省してる。もう二度と云わない」
「へぇー……後悔してるんだ」
「……してるよ。だってこんなに恥ずかしいのに……その………」
「……。」
徐々に小声になる紬の言葉を、それでも聞き逃さなかった太宰は
「煽るのが上手いねぇー……困った妹だ」
「!?」
再び紬の身体を貪り始めた―――。