第27章 行き着く先は―――
「思ったよりは早かったね」
「そう?なら良かった」
ほの暗い場所。
明かりをつける気は無く、そのまま紬と会話を続ける。
「で?急に如何したんだい?」
「善人になるよう織田作と約束した」
「ふーん」
紬が私の隣に腰掛ける。
「武装探偵社。次の就職先さ」
「へぇー。まあ警察や特務課よりは良いんじゃない?」
「同意が得られて良かった。もう履歴書は出しておいたから」
「ん?私もかい?私は善人なんか向いてないよ?」
「いいよ。別に。しかし、私は紬と対立する気はない」
「……。」
そう云ってぬいぐるみを出す。
「如何する?」
私の問いに一瞬黙る。
そして
「……治って女性を優しく口説くって聞いてたけど私は違うの?」
「え?」
思わぬ返し。
鳩が豆鉄砲を喰らうとはこう云うことかもしれない。
「治の中で私は何時になれば女性になれる?」
もう一度問われる。
そうか。
紬の手を引く。
アッサリと引かれて。
ポスッと私の腕の中に納まる紬。
「私と添い遂げてよ」
腕の中で紬がクスクス笑う。
そして、顔をあげた瞬間に唇を重ねた。
「着いていくよ。何があっても」
私だけに向けられる笑顔。
それを確認してまた口付けを交わした――。