第27章 行き着く先は―――
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「遅せーな。人を呼びつけておいてよ」
「出先から直接来たものでね」
不機嫌な顔で私を迎えたのは今朝方まで『仕事』をしていて寝不足と云わんばかりの中也。
まあ、実際寝不足ではあるだろう。
「出先って……だからマフラーなんてしてんのか……ってソレ……」
「ん?ああ。返すの忘れてた。真逆、中也のだったの?」
「んなわけあるか!何だあ?紬と出掛けてたのかよ」
「そうだけど……何でわかったの?」
マフラーだけで?
「何でって……ソレ、紬が編んだヤツだろ?」
「え」
「……知らなかったのかよ。結局、何て云って渡したんだか」
中也がボソッと呟いた言葉を私の耳は凡て拾っていた。
渡す算段を中也に相談していたということか。
結論が出た瞬間に湧いてきた、この感情の名は―――
「んで?今度は確実な情報だろうなあ?」
「!」
中也の声で現実に引き戻される。
「?何だよ。ボーッとして」
「否、何でもないよ。情報の正確さで云えば間違いないよ。紬がくれた情報だ」
「……名前呼ぶようになったのか」
「ん?誰の?」
「自覚が無ェのか」
呆れた顔をしている中也。
腹立つ。
「○○の始末は手子摺ったかい?」
「あ?ああ……何処かで武器の密輸人と繋がったな。全員がキッチリ武装してやがった」
舌打ちしながら答える。
「△△と手を組むために□□が○○に武器を横流ししたらしい」
「!」
私の情報を聞いて驚く。
「確かに△△と□□が組めば武器の密輸ルートなんか上手くいく道理を持ち合わせちゃいるが……仲が悪かっただろうが」
「その仲違いの原因を□□が○○に押し付けて△△に取り入った」
「……読めてきた。俺達が狙っている事を□□が○○に伝えて武器を与える。その動きを俺達が掴まない訳がねぇ」
「そう。そうして○○に注意が行った隙に△△を救い、2組織で雲隠れって筋書きだったらしいのだけどね」
中也が溜め息を着く。
そうして、目の前の建物に侵入する。
「相手が悪かったな」
「本当にね。この筋書きを書いてあげたのがポートマフィアの幹部なんて微塵も思わなかったのだろう」
ガラン
「……太宰」
中也がジロリと視線を寄越す。
シッ
「!」
口に指を当てて指示をした。