第27章 行き着く先は―――
まあ、いいや。
どんな予定があろうと私には関係ない……。
「それで?何が条件なの?」
「ん?知りたかったの?」
「とっとと終わらせたい気持ちだけは共通しているからね」
「ふーん」
私が云うと紬は少し考えて書類の山から1冊の本を出す。
堅苦しい本なんかではない。
その辺に溢れている雑誌の類いだった。
「何それ」
「雑誌だよ。えっと……あ、これだ」
「?」
目的の頁を見付けて、開いたまま渡す。
見開きで載っているのは化粧品の販売情報のようだ。
「で?これが何」
「其れが欲しいのだよ」
「は?」
紬の言葉でもう一回、その頁を読む。
何度見ても載っているのは化粧品。
白を基調とした雪の模様をあしらった愛らしい小物入れに化粧品一式が入っているらしい。
ああ、クリスマス限定商品なのか。
「化粧品は如何でも良いのだよ。其れに付いている『ぬいぐるみ』が欲しいんだ」
「ぬいぐるみ?」
如何にお得な限定セットかを記載された箇所。
其所に、確かにぬいぐるみが載っていた。
黒と白の兎のぬいぐるみ。
20糎ということはそこそこ大きい。
「珍しいだろう?この時期、熊なら多いと思うが兎なのだよ」
楽しそうに笑って云う紬。
「いや、どちらでも如何でもいいけど。何?こんな趣味があったなんて似合わないことこの上ないけど」
「……。」
目を見開く。
そして
「まあ、云われるとは思った」
直ぐに苦笑……。
否、少し悲しそうに笑って云った。
何だろう。この感じ。
……罪悪感?真逆。
「女性だと購入が出来ないのだよ」
「ふーん。完全にクリスマスを笠に着た商品ってことか。私に化けたら良いじゃないか」
「それも考えたけど私に女性の知り合いは乏しい」
「は?」
何度目か判らない疑問符。
質問するのが面倒になって真面目に頁を読み込むことにする。
カップル限定。
更に男性のみ購入可能。
ああ。
どちらにせよ連れが居るのか。
「適当に部下を連れていっても良いけど絶対に恋人同士には見えないだろうし中也は未だ帰ってこないし。そうなると選択肢が治か織田作しか居ないんだけど」
「……。」