第27章 行き着く先は―――
「今すぐ知りたいって云うなら治も取引するかい?」
漸く私の方を向いて云った紬の声でハッとする。
何を疑問に持つことがあるのだろうか。
―――私には全く関係ない。
「何を莫迦な。先刻も云ったけど君の条件を飲んだでしょ?」
「先刻も云ったけど中也が3日以内に○○を始末してきたらって云ったでしょ。中也が戻ってきたら中也に教えるのは当然だ。△△の始末は『君達』の案件なんだから」
「……。」
腹は立たなかった。
私が紬の立場なら同じことを云うからだ。
「何故」
「うん?」
マフラーを外して畳む紬。
「中也を行かせた理由だよ。私に持ちかけた取引なら私でも良かった筈だ」
そして喉が渇いたのか。
紅茶のパックにお湯を注ぎ始める。
何も訊かずに私の分も淹れている様だ。
「○○は今回、ある組織の入れ知恵で、これでもかと云うほど武装を決め込んでいる」
まあ座り給えよと促される。
椅子の位置に置かれる私の分の紅茶。
「……。」
如何するか一瞬だけ悩んだが。此処は大人しく座っておく事にする。
一瞬だけ。
其れを見た紬が驚いた顔をした気がした。
「それで」
「中也が行く方が適任と思っただけだよ」
本当に一瞬。
私が話を促すと何事もなかったように続ける。
「はっ。私が始末出来ないとでも?」
「真逆。しかし、今から動くとなれば下調べをして○○を始末出来そうな組織を煽って、凡てのケリが着くまでに掛かる時間は凡そ4日」
「……。」
「中也ならば1つの拠点さえ教えれば凡て片付けるのに明日、遅くても明後日の朝方には帰ってこれるだろう」
「……。」
正論だ。
「私は□□の件を今週中までに片付けたい」
「……○○だけじゃなくて□□の始末までも云われているのか」
「年内に事を済ませたい首領の気持ちは判らなくもないよ」
カレンダーを見ながらクスクス笑う紬。
そろそろ日付が替わろうとしているが。
今は12月22日木曜日。
もうすぐ年が変わる年末だ。
今週までに終わらせたいと云うことは、だ。
「ふーん」
「何だい?その目」
「別に」
12月25日……。
クリスマスは空けておきたいと云うことだ。