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【文スト】対黒

第27章 行き着く先は―――



プルルルル……


ほら。


出な――


『もしもし?』

「!」


「出たのか」


中也が溜め息を着いている。


『もしもし?話す気が無いなら切るけど』

「……話す気が無いなら掛けるわけないだろう?」

『じゃあ用件を云い給えよ。今、両手を使っているから忙がしい』

「其方の都合なんて知らないよ。で?如何云う積もりだい?」

『何が?』

「△△が忽然と姿を消したのだけど」

『それと私、何の関係があるんだい?』

「君以外にこんなことする人間なんて居るわけないでしょ」


『……。』


返答が無くなる。


『中也が3日以内に○○を綺麗に始末出来たら教えてあげよう』

「何それ。○○の始末?何でそんなこと紬が口出すわけ?」

『うん?○○の始末は私の仕事の筈だけど?』

「え?」

『………首領に一杯食わされたか』


ボソッと呟く紬。


成る程。

○○や△△の始末も。
□□の捜査や始末も急ぎの要件だと云っていた。


『まあいいや。其所に中也は居るんだろう?』

「うん。けど○○の潜伏先は未だ調べてないよ」

『私との取引を了承するならば迎えを寄越すよ』

「……。」


電話を切らずに中也に話す。


私も中也も何となく浮かんだ。


紬は○○も△△も一網打尽にしようとしていることを。


中也が舌打ちしながらも了承した。

―――

「それで?」

「それでって?」

戻ってきて目の前の女に話し掛ける。


しかし、だ。
話し掛けているのに此方を見ずにずっと手を動かしている。


机の上には白い毛糸。


「△△の居場所。中也を向かわせたから教える約束でしょ」

「3日以内に○○を始末してきたらって云った覚えはあるけど」


手を止めてニッコリ笑う。


私に笑い掛けたのではない。


「何時からそんな趣味を持つようになったの?全然似合わないけど」

「ふふっ。つい先日だよ。最近の流行りらしいよ?時間潰しには丁度いい」


完成したようだ。
其れを早速、首に巻き付ける。



既製品と云われても信じれる程の仕上がりの白いマフラー。


少し長いけどいっか。そんな呟きが聴こえる。

顔は笑顔。


私と話していると云うのに、だ。



―――完成を喜んでいる理由は?


そんな疑問が脳裏を過った。
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