第27章 行き着く先は―――
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「早く終わらせて帰るよ」
「未だコイツらの関連者達…□□の捜索と○○の始末が残ってるもんなぁ」
「全く。仕事は増える一方だね」
「手前は殆ど何もしてねーだろうが!」
やれやれと溜め息を着く私に、怒り混じりでツッコミを入れる中也。
「中也よりは働いているとも」
「ケッ。云ってろや」
組織を潰すために赴いているわけだが二人しかいない。
『双黒』――。
ここ最近、私達に付いた通り名だ。
「行くぞ」
中也の声で目的の倉庫の前に立つ。
そして、固く閉ざされているシャッターを中也が蹴り飛ばして開けた。
中也の異能を以てすれば固く閉ざされていても意味がないね。
そう思いながら足を踏み入れた。
そして
「太宰……」
「……。」
言葉を失う。
何もないのだ。
倉庫と云う空間以外、何もない。
逃げられた――――?
「空っぽじゃねーか。人だけならまだしも荷物すらねぇぞ。何ぬかってんだ手前は」
「私の調査に不備など無いよ。有るとすれば私以上の頭脳の持ち主が入れ知恵してほんの一瞬の隙を付いたとしか思えない」
「そんな奴居る訳……」
「………。」
中也の言葉が途切れる。
恐らく、私が思い浮かべた人物と同じ人物が脳裏を過ったのだろう。
「あの女ァ~~~……!」
中也が怒りながら電話を取り出す。
掛ける相手など確かめずとも判っているからそのまま踵を返した。
中也が私に付いてきながら電話に耳を傾けている。
が、出るわけがない。
「糞っ!アイツ着拒してやがる!」
「中也に怒鳴られる事くらい容易に想像出来るからね」
「判ってるなら手前が掛けろや!」
中也が怒鳴りながら蹴りを入れてくる。
が、当たる筈がない。
中也の攻撃パターンなど把握済みだ
「私が掛けたところで結果は同じさ」
「手前に対する嫌がらせだろうが」
「心当たりが無い」
「はあ?」
「嫌がらせをしてないからされる云われもないし。抑も、最近は殆ど話してないから」
「ふーん」
中也が何か考え込む。
「手前が掛けねーなら俺が掛けるから電話を貸せ」
「……。」
確かに理由を知らなければまた同じ目に遭う可能性が高い。
どうするか……。
「自分で掛ける」
「そうかよ」
私は電話を取り出した。