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【文スト】対黒

第27章 行き着く先は―――


―――

「ん……」

魘されているのか。

紬の眉間に皺が依っている。

そんな紬の頭を撫でてやりながら心配そうに見つめる太宰。


海の見えるベンチに太宰は座っていた。


横に寝せた紬の頭を膝に乗っけて、自分の羽織っている外套を掛けてやっている。


そんな二人に走って近付いてくる人物が一人。

国木田だ。

「済まん太宰……逃がした……」


息を切らしながら述べる。


「いや、大丈夫だよ。私の方こそ手伝わずに申し訳ない」

「紬を放って置くわけには行くまい」

そういうと太宰の隣のベンチに腰掛ける。


「兄妹で殺し合わせる気なのだから如何せ近くで見物している筈さ」


ヘラッと笑いながらも紬を撫でる手は止めない。

そんな太宰を見てから腕時計を確認する。

「後10分程か……」

「だねぇ」


女が「30分で結果が判る」と云っていた。

起きるか、又は太宰を憎む妹になっているか。


どちらを取っても良い結果では無い。


しかし、憎む妹の方がマシかもしれない。


押さえ込んで拘束出来れば………


「太宰。紬に勝てる可能性は?」

「無いよ。私は紬に怪我をさせる気など無いから」

「殺されかけてもか?」

「寧ろ、紬に殺されるなんて本望だからね」

「……。」


そうだった。

こいつはそういう男だった。



国木田は頭を抱えた。


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