第27章 行き着く先は―――
暫く黙り込む。
そして
「紬が考えればいい」
「……え?」
「それと釣り合う条件を紬が決め給え」
「……。」
紬が目を大きく見開いて驚いている。
「……自分が何を云っているのか分かっているのかい?」
「勿論」
「一体、何を企んでいる?」
「企む?真逆。私が取引を望んだのだから紬の意見を訊くのは当然だろう?」
「……。」
確かにそうだ、と思っているだろう。
しかし、今まで私達の間にこのような取引など一度たりとて存在したことが無かった。
考え込み、怪しむのは当然だ。
悩めばいい。
私が紬の言動に惑わされているように――。
「じゃあ私が結婚するまでの間、一切女性と交際をしないというので如何だろう」
「そんなので良いの?別に構わないけど」
紬にしては温い条件だ。
しかし、了承すると思っていなかったのだろう。
紬の眉間に皺が寄る。
「本当に良いのかい?」
「何が」
「私が結婚しなかったら永遠に結婚できないけど」
「別に構わないよ。結婚が凡てだと思ってないし」
「隠れて交際したとして私がそれを発見すれば女を消すけど」
「前回の女も仕返しの腹癒せで殺されてるしね。何時もの事じゃあないか」
「……。」
紬が黙り込む。
「じゃあその条件で取引を成立としよう。だから今日中に織田作に別れを告げ給えよ」
「……約束する」
返答をきっちり聞いてから私は紬の部屋を出た。