第27章 行き着く先は―――
一体、何を企んでいる?
そんなことを考えていると頭を撫でる手を止めて私に寄り添うように引っ付いた。
「事を終えたら自室に戻っているかと思っていたけど読みが外れたね……」
ふふっと笑う声が聴こえる。
笑っている?
「……もう少し……」
小さく。呟くように云ったその言葉は寝息に繋がる。
演技か?
それとも私が起きていることに気付いていた?
紬が私と一緒に居たいなどと思うわけがない。
となると、だ。
私に気付いて演技しているか、初めての事だから雰囲気に流されたかのどちらかだ。
後者は無いだろう。
幾らなんでも強姦した男と共に居たいなどと思う人間など居る筈がない―――。
目を開けて、腕の中を確認する。
スー……スー……
間違いなく規則正しい寝息を立てている紬の姿。
本当に寝ているようだ。
何を考えているのか全く分からない。
分からないけれど―――
『もう少し』
それを紬が望むなら……。
―――決して私が望んだ訳じゃない。
―――
「ん……」
私もまた眠っていたらしい。
目を開けると先程まで腕の中に居た人物は姿を消していた。
何処に行ったか。
ゆっくりと身体を起こす。
目的の人物は昨日と同じ格好で再び私の前に姿を現した。
「起きたかい?」
「ああ入浴だったか。綺麗に洗い流せたかい?」
私も脱ぎ捨てていたブラウスを羽織り、云う。
「さあ?何時も通りに入っただけだから判らないね」
何時も通りの返事。
「とっくに部屋に戻っていると思っていたけど」
「未だ話は終わってないからね」
欠伸しながら紬の方を向く。
「紬。取引しようではないか」
「……取引?」
ピクリと反応する。
「何と云ってたぶらかしたかは知らないが織田作だけには手を出すな」
「随分ご執心な事で。そんなに仲が良かったのか」
クスクス笑って化粧台の椅子に座る。
「そんな大事な人に手を出すなと云った上に、私の処女を奪ったんだ。それなりの条件を提示し給えよ」
当然の返しだ。