第27章 行き着く先は―――
紬が寝室にしている部屋へ赴く。
勿論、ノックなどしない。
部屋に入り、鍵を掛けた。
抑も、何で鍵が掛かっていなかったのか。
そんなことを考える余裕すら私には無かった。
部屋に入り、見付けた。
「!」
向こうも気づいたのか此方を振り向く。
風呂上がりだったのか。
バスタオル一枚で居る紬は私の顔を見ると同時に笑い出す。
「そろそろ来る頃かと思ったよ」
「……。」
あ、そう。
私の訪問を最初から見越していたわけか。
丁度良いや。
「うわっ!何だい!?いきなり」
腕を掴んでベッドに放る。
素早く上に覆い被さり、片手で紬の両手首を拘束する。
「汚れた女って判れば織田作も諦めるだろう」
「恋愛にそういうのって関係あるのかい?恐らく織田作だって私が初めてでは無いでしょ」
バスタオルを剥がれ、裸体を晒されてもクスクス笑うのを止めない紬。
何とも思っていないのだろうね―――
「私に犯されることなんて」
―――
抵抗を一切見せなかった。
男馴れしているのかと思っていたが
『痛っ……』
――処女だった。
腕の中で眠っているのか意識が飛んでいるのか分からない彼女を見やる。
「卑怯な女だね……」
頭を撫でながら呟く。
聴こえてないことは判っていた。
『治っ……ぁ!んぅっ…!』
こんな時に、もう何年も呼んだりしていない名前を呼ぶなんて。
「……紬」
目を覚ませば何時も通りの私達に戻るだろう。
目を覚ます前に去ることも考えたが……
そっと紬に触れる。
そして、そのまま腕を回した。
目を覚まして嫌そうな顔をする紬を想像する。
フッ
嫌がらせとしては丁度良いか。
それに。
……もう二度と無いだろうから。
自分にそう言い訳してから目を閉じた――。
―――
何れ位、寝ていたのだろうか。
フッと意識が浮上する。
しかし、だ。
ナデナデ……
私の頭を撫でる手の動きを感じて寝た振りを決め込む。
紬が目を覚ましている?
その割りには大人しく私の腕の中に収まっている様だ。