第27章 行き着く先は―――
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何時もの酒屋。
酒を煽りながらカウンターに座っている。
始末したのにスッキリしない。
何か。
見落としているのではないか―――?
「太宰」
「!」
声のした方を向く。
「やあ!織田作!元気だったかい?」
「お前は相変わらず包帯まみれだな」
「うふふ。これは私のチャームポイントだからね」
久しぶりの友人。
取り敢えず、忘れて飲むことにしよう。
そうして二人で暫く飲んだ。
他愛ない話をしながら。
本当に嫌なことを忘れられていた。
織田作が急に真面目な顔をするまでは。
「如何したの?急に。何か手伝って欲しいことが出来たのかい?君の頼みなら何でも聞くよ」
「いや、その……だな」
「?」
様子がおかしい。
「紬と付き合いたい」
「うん。勿論良……ごめん。もう一回云ってくれるかい?」
「紬と交際したい」
「駄目だよ」
聞き間違いではなかった。
依りに依って。
「織田作にはもっと相応しい女性がいるさ。あの女は駄目だ。利用されて終わりだ」
「お前にそっくりだもんな。そんな気がする」
「じゃあなんで!」
「放って置けない」
「演技だよ。目を覚まし給え」
「それでも構わないと云ったら許可してくれるか?」
「……。」
真剣な眼差し。
何と云って織田作をたぶらかした?
否、そんなことよりもだ。
織田作を選んだ事が問題だ。
私が絶対に始末出来ないと判ってて選んだだけ……。
何を考えているんだ?
「織田作。絶対に認めない。紬は諦めて」
それだけ云うとお金を置いて店から出た。
向かうは1つ。
紬の所だ―――。