第27章 行き着く先は―――
「IT企業に勤めているごくごく普通の会社員。年齢は24歳。○○大学卒業……他は別に要らないか」
調べた情報を元に街を歩く。
この経路ならば……
「!」
色々考えていると今調べたばかりの男が私の隣を走り去っていく。
矢張り、このルートか。
確信して直ぐ傍のカフェに入った。
適当に注文して席を探す。
「!?」
ガラス越しに私の視界に入ったモノ。
あの男と一緒に並んで歩いている女。
笑顔で、楽しそうに笑っているその女に目を蕩られた。
私は知っている。
普段とは正反対の格好をしているが
見紛う筈など、無い――――。
「………。」
当然、此方に気付くことなく二人は通り過ぎた。
彼女とすれ違う男たちが何度も振り返って見ている。
それに連れの男だけが気付いて鼻高々の様。
「……。」
いや、そんなことは如何でもいい。
問題は女の方だから。
何時からそんな笑い方をするようになった?
何時からそんなに着飾ることを覚えた?
何時からそんなに女性らしくなった――?
『余所見してるとかっ拐われるぜ?』
中也の声が脳内に反芻する。
「………彼女が何処の誰と添い遂げようと私には関係無い」
ポツリと呟いた声は誰にも聞こえなかっただろう。
しかし、云えた。
何故、先程は云えなかったのだろうか。
分からない………
否。
判りたくない―――。
電話を取り出して、掛ける。
「私だけど。一人と車、手配して」
取り敢えず。
苛々の原因を除こう。