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【文スト】対黒

第27章 行き着く先は―――


―――

「紬!?紬!目を開けて!」

ぐったりとした様子で目を閉じている紬に必死に呼び掛ける太宰。


「きゃはははは!作戦成功♪」


「貴様!紬に何をした!」

目の前にいる女に国木田が吠える。


「何って眠って貰っただけよ?」

うふふと笑いながら国木田に答える女。

歳は20代前半程。

フリルのたっぷりあしらわれたワンピースを着て、子供のような口調のせいか、精神年齢が少し低い印象を受ける。


「あの銃弾には『夢で過去を遡って因果を変える』記憶操作型の異能を掛けていたの」

女が説明を始める。

「過去をと云うことは今の年齢まで追い付けば紬は目を覚ますと云うことだね?」

「そうよ。まあ目を覚ませば貴方達の仲間では無いだろうけど」

「「!?」」


太宰と国木田。両名とも驚く。


「太宰兄を狙えば弾丸が通らない妹が庇いに来る。予想通りの動きをしてくれて本当に良かったわ」

「そんなことは如何でもいい。紬が仲間で無くなるの意味を説明しろ!」

国木田の怒鳴り声に耳を塞ぐ女。


「今、彼女が観ている夢は『若し、太宰兄妹の仲が悪かったら』」

「「!」」

「ずっと傍に居たんでしょ?でも物心着いた後からじゃないと敵対してくれなさそうだからマフィアに入った時から始まってると思うわ」

ずっと笑いっぱなしの女に顔をしかめつつも太宰が口を開いた。


「そんな夢を観せてどうするんだい?」


「決まってるでしょ?貴方を殺してもらうのよ」

「紬はそんな術にはまるほど柔じゃないよ」

「云ってなかったわ。『今』の時点まで遡っても変えようとしている因果を受け入れなければ一生目を覚ますことは無いわ」

「「!?」」

完全に勝ち誇った顔。


「彼女に迫られた選択は『眠り続ける』か『兄を憎む妹を受け入れる』かのどちらかしか無いのよ」


嬉しそうに云う女。


「紬……」


太宰はただただ、紬を抱きしめた。
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