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【文スト】対黒

第27章 行き着く先は―――


「手前の不機嫌な理由はこれか」

「不機嫌じゃなくて不愉快だと云った筈だけど?」

「なんだ。合ってるのかよ」

「……。」

不覚だ。

中也ごときにしてやられるとは。


「ま、連中が騒ぐのも無理はねぇな。急に女に化けやがったんだから」

「第二次成長を迎えただけでしょ」

「違いねぇが手前と瓜二つだったから余計に目立つんだろ」

「……。」


それは大きいだろう。

同じ程の背格好だったのに今では私の方が背は高い。

その他……。

声も、仕草も、顔つきも。

何もかもがそっくりでは無くなった。


未だに似ていると云えば―――


「あれで性格が丸けりゃ『善い女』なのになあ」


中也が鼻で笑いながらぼやく。

「あんな女がいいの?趣味が悪いねぇ中也」

「……だとしても手前には関係無ェだろ」

「え」


思わず歩みを止める。


「何驚いた顔をしてんだよ」

「本気で云ったの?神経疑うけど」

「……お前はアイツの事、本当に何も知らねぇんだな」

「露程にも興味ないからね」

「じゃあ関係無……!」

ガシッ

去ろうとする中也の腕を掴む。


「……露程にも興味無いんだろ?」

「中也の一言で急に興味が湧いたんだよ」


珍しく本気だな。


捕まれた腕の力に、溜め息を着く中也。


「紬のやつを狙ってる男は此処だけでも山のように居るぜ?」

「……。」


「んでもう一つ云うと」

「なに」

「一般人と交際しているらしい」

「は?」

「……。」

中也が呆れた顔をして見ているのが分かる。


「それでも云えんのか?お前」

「何を」

「『関係無い』って」

「……。」

「余所見してるとかっ拐われるぜ?」


私は何も云わずにその場を去った。


「ホント、知らねぇからな」


中也が最後に何か云っていたが聞き取れなかった。


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