第27章 行き着く先は―――
「やれやれ。乱暴だなあ」
その紙を元の位置に戻して大袈裟に溜め息を着いてみせる。
「先日、私が漸く見付けた密輸ルートの情報をこの組織に教えてあげたらしいじゃないか」
「何処から得た情報?そんな不確かな情報に踊らされて私の仕事の邪魔をしたって訳?」
「私が君を欺けないように君も私を欺くことなど出来はしないよ」
「……。」
その通りだ。
欺ける筈などない。
今まで一度たりとも成功したことなんか無いのだから。
故に、密輸ルートの情報の横流しをしたことも本当だ。
「それで先を見据えていた私の邪魔をすべく組織を壊滅させたって訳か」
「懲りたら私を利用しようなんて止めることだね」
フイッと顔を背けて離席する。
御茶を注ぎに行くようだ。
「君も飲むかい?」
「一服盛られたお茶なんてお断りだよ」
そう言い捨てて部屋から出た。
「なんだ。知ってたの」
そう聞こえた声は聴こえなかったことにした。
太宰紬。
私の唯一無二の親族。
同じ母胎から同じ日、同じ時間に産まれた
所謂『双子』と云う存在だ。
双子ゆえに似ていると云うだけではない。
見た目は仕方ないにして。
口調も考え方も性格も。
何もかもが同じなのだ。
違いと云えば性別と所持している異能だけであろうか。
其れほどに。
まるで鏡を見ているかのような存在の彼女が
私はこの世で一番嫌いだ。
「今までどちらに?」
理由など考えたことなど無い。
それでも敢えて挙げるとするならば
『自分を見ているようだから』だろう。
「別に。心配されるようなところには行ってないよ」
部下に指示を出して今日の結末を踏まえて今後どう動くかを考え出す。
「……太宰さんが犯人ですか?」
「今、片割れの話はしないでくれ給え」
「「……。」」
空気が読める部下たちだ。
一瞬で部屋が静まり返った。