第26章 影は常に付き纏うもの故に
「困った妹だねぇ」
ふふっと笑う太宰。
とても困っている様には見えない。
「……続けるぞ」
国木田が仕切り直した。
―――
会議を終え、社を出ていく国木田と太宰。
会議の結果、○○の誤解を解くために「愛娘を薬漬けにした連中」の真犯人を探すことになったのだ。
「抑も、お前が放置してきたりするからだろうが」
「そうは云っても、私が彼女に襲われたということは既に薬漬けにされていたということだろう?」
「む。確かに」
国木田が納得する。
「となると、犯人はあの女2人組か」
「だと思うけど」
「先ずはあの旅館の顧客リストを調べるか」
「そうだねぇ」
如何せ載ってないけどね。
そう思いながらも国木田に同意して警察署に向かった。
そして、その日。
「遅いねェ国木田たち」
「そうですね」
「また太宰が河にでも飛び込んだか?」
「ふふ。そうかもしれませんね」
2人が戻ってくることはなかった―――。