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【文スト】対黒

第25章 今思えばあの頃から


―――

結局、眠ることはせずに紬を抱き締めながら過去を振り返っていた。


紬を初めて抱いた日。
勿論、紬は処女だった。

何の抵抗もなく大人しく最後まで私の云うがまま、されるがままになった。


「初めてだったのに。もう少し優しくしてあげれば良かった」


小さく呟いて瞼に口付けを落とす。


他の男に盗られそうになったから。

子供としか思えない理由で、大切な妹の大切なものを衝動的に奪った。

後悔していないかと問われれば後悔しかしていない。


そしてあの時。
犯した理由をハッキリと告げなかった。

だから同じ様な場面に遭遇する度に紬を乱暴に抱いた。

それだけじゃ飽きたらず、首輪を嵌めてベッドに繋いだこともある。


完全なる性暴力だ。


そして、次に襲ってくるのは『拒絶』されるかもしれない恐怖。


これ等を押さえるために他の女を抱くようにしたが全く意味の無いものだった。


1度覚えてしまった快楽以外では全く満たされない。


結局、連れ込んだまではいいものの、ヤル気にはなれずに一服盛って、女だけが満足するだけの行為。


「紬が思っている程、他の女とヤったりはしていないのだけどね」

「薄々は分かっていたのだけどね」

「!」


腕の中から声が聴こえる。


「起こしたか」

「うん。責任とって」


本当に甘えるのが上手くなった。


―――

「久しぶりに夢を見たよ」

「へぇー。どんな?」

湯船に浸かりながらのんびりと話す紬。

胸にかかる紬の体重が心地良い。

「治に初めて襲われた日の夢」

「……。」

双子ならではの「シンクロ」なのだろうか。


「今なら治が私を何の前触れもなく襲っていた理由が判るよ」

「そう」

紬の首筋を舐めながら顔を埋める。

「何故、あの時云ってくれなかったんだい?」

「……。」

私自身、後悔していること。

振り向き様に紬の口内を犯して胸をまさぐる。

「気持ち良い?」

「うん……ぁ」

「私と添い遂げてって云う勇気が無かったのだよ」

「……。」

「紬は知らないだろう?あの時、何れ程の男に狙われていたのか」


「知らないよ。露程にも興味がなかったからね」


「……。」

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