第24章 神隠しと云う名の
「この地域に逃げ込んでるってなると後者だろ。最近、シャブ漬けにされた女が頻繁に市場に出回ってる」
「成る程。紬が云っていた密売ルートが本当に存在するのか」
「あ?もしかしてアイツ、昔から調べてたのか?」
「みたいだねえ。何れ使うつもりで調べてたのかも」
「あの鍾乳洞には人目に付かずに川に出られるルートが存在する」
「へぇー。人身売買には持ってこいってことか」
「ああ」
此処まで話して2人はピクリと何かに反応する。
ガラッ
「あれ?可笑しいなあ。誰か居たと思ったけど…気のせいか?」
入ってきたのは紬を軟派してきた男。
そして
「女湯にも誰もいなかったよー?」
「気のせいじゃないー?あ、服が有ったか見れば良かったのにー」
「確認したって。誰か居たなら来てないよ」
女湯の方から□□と■■が現れた。
―――
「助かったよ紬」
「御安いご用だよ、この程度」
「中也?」
「……有難う」
「宜しい」
ニッコリ笑って着替えを渡す紬。
浴衣を羽織って早々に退散する。
「これで完全にあの3人は黒だね」
「そうなるね」
「序でだから教えといてやるよ」
自販機で飲み物を買いながら。
基、中也に奢って貰いながら話す。
「「何を?」」
「この旅館自体が黒だ。精々気を付けるこった」
自分の分を取ると中也は去っていった――。
「治。其処に座って」
「ん」
中也が見えなくなるまで見送ると紬がベンチを指差す。
懐から取り出したのは包帯。
クルクルと巻いて、固定する。
「此れで良し」
「有難う紬」
2人でベンチに座って飲み物を飲む。
「困ったことになったね」
「そうだね」
ひと口飲んで呟く。
「あ、でも直ぐには分からないんじゃない?」
「成る程。最終日か」
太宰に寄り掛かる紬。
「お土産街道」
「判ってるよ。2人でまわろう」
頭を撫でてやると満足そうに笑顔を浮かべた。
―――
朝食を摂って一休みする。
何処に敵が潜んでいるか分からないため一般客を装う事にしている探偵組はロビーに居た。
紬だけその場に居ない。
「何してるんだ?紬は」
「ふふっ。おめかし中だよ」
「「?」」