第24章 神隠しと云う名の
「取り敢えず、明日は祠とやらに行ってみるか」
「そうだねー」
「じゃあ今日はもう寝ていい?」
紬が立ち上がる。
それに着いていく太宰。
「太宰、お前は此方だろうが」
「紬と一緒じゃなきゃ眠れない」
おやすみーと云って出ていく。
「本当、仲良しですよね」
「呆れる程にな」
敦達が話して直ぐだった。
ガチャ
鍵を閉めて再び戻ってくる太宰兄妹。
「?」
「部屋に戻ったんじゃ無かったのか?」
紬に至っては着替えの入ったカバンごと戻ってきた。
「……私が不在の間に誰かが侵入した形跡がある」
「「!?」」
2人の表情が険しくなる。
「で、でも!僕たちの部屋だって蒲団を敷くために従業員の方が入ってる訳だし」
「私の部屋はベッドだ。蒲団を敷く必要がない」
「!」
その通りだ。
だから女性の部屋はベッドが備え付けられている部屋にしてあるのかもしれない。
「何故気付いた?」
「それこそ出掛け間際に扉に細工しておいたのだよ。元々、家以外は信用してないから」
「抜り無い奴だな」
「そうなるとサウナの件も紬を狙った可能性も出てくるね」
「ここ最近は大人しくしている積もりなのだけどねえ」
腰を下ろす。
「ってことでここで寝て良いかい?」
「良いですけど蒲団どうします?」
「治と一緒に寝るから気にしないで良いよ」
「じゃあ此方に蒲団一組移動させるか」
「判りました」
敦が居間の方に蒲団を運ぶ。
「おやすみー」
「おやすみなさい」
襖を閉めて二つの部屋に分かれた。
「じゃあ先刻の続きをシようか」
「隣に居るからイヤ」
「怒ってるんだけど」
「……。」
太宰の一言で抵抗を止める紬。
「善い子」
頭を撫でて口付けをする。
「侵入者の心当たりは?」
「治が睨んでる人物だと思うけど…っ!」
「脅しが足りなかったか」
会話をしながらも紬を攻める手は止めない。
それに耐えながら必死に声を押さえる紬。
「何時もなら声を聞きたいけど今日は絶対に出したら駄目だよ?」
「っ!」
敏感なところに触れられて身体を反らせる。
涙目で兄を睨む。
「うふふ。そんな顔してもそそるだけだよ」
夜は未だ始まったばかりだった――。