第24章 神隠しと云う名の
「紬さん格好いいー!そうだよ!新しい出逢いを求めなきゃ!」
「私達と一緒に楽しく探そう♪あ、太宰さんって彼女さん居るんですかー?」
「治かい?居るよ」
「あちゃー」
「格好いいと思ったのに矢っ張りそう云う人って彼女持ちですもんねー」
「あはは」
3人で話しているのを黙って聞く○○。
「あ、露天風呂もあるのだね」
「私も行ってみたーい」
そう云って紬に続いて■■が一緒に湯船を上がる。
「太宰さん、気になるんでしょ?」
「うん……」
「大丈夫!彼女持ちでも旅行には来てないみたいだし。それにほらっ!紬さんも『略奪』することは悪いこととは思って無い感じだし♪」
「うんっ……!頑張るよ」
「応援するー。あ、こういうのはどうかな?」
○○と□□はコソコソと何かを打ち合わせし始めた。
―――
「うわあ!紬さん!?」
「なななななっ!?」
「おや。露天風呂は混浴だったのか」
「紬さんのお知り合いですかー?」
慌てる男性陣とは打って変わって何事でもないかのように湯船に入る女性陣。
「良い景色だねえ。国木田君は見えてるのかい?」
「全く見えんし、全く見てないぞ俺は!」
「あははっ。流石ムッツリ助平」
「誰がだっ!」
「紬さんの同僚さんは面白い方ばかりですねー」
「私もそう思うよ」
ふふっと笑って中の様子を窺う。
「其方も敦君たちだけ?」
「はい。僕たちで貸切状態です」
「それなら治も来れば良かったのにねー」
「上がったら声を掛けてみます」
「そうしてあげて」
「おーい」
紬が話し終えたタイミングで中から□□が声を掛けてくる。
「ねえねえ!サウナに入ろうよ!」
「おー!久しぶりに我慢対決しちゃうー?」
■■が立ち上がり、敦と国木田が素早く背を向ける。
「紬さんもどうです?」
「うーん……」
少し考えて
「折角だし参加しようかな」
続いて湯船から上がっていった。
「「………。」」
一気に静まり返る露天風呂。
「太宰に混浴で紬と入ったって云ったら殺されるかもしれん」
「大袈裟ですよ。僕もそう思ってますけど」
「水風呂にでも入るか」
「そうですね」
2人も男湯に戻っていった。