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【文スト】対黒

第24章 神隠しと云う名の


そんな太宰の目の前を通り過ぎ様

「キャッ!」

「おっと」

一人旅をしていると云った娘が躓く。

太宰が素早く支え、転倒を真逃れる娘。

「あ……有難うございますっ!」

「気を付けてね」

顔を真っ赤にしてペコペコお礼を述べると足早に去っていった。

そして

「何で声を掛けてくれなかったの?」

太宰が2人の元に歩み寄る。

「俺達が話す隙があったか?」

国木田の言葉に敦が頷いている。

「太宰さん、紬さんは?」

「この旅館の何処か」

「一緒じゃなかったのか」

「別々に情報収集した方が沢山集まるだろうしね」

「……お前達にしては真っ当な意見だな」

読みとは外れた行動をしている太宰を一応誉める国木田。

「紬は元々、仕事は真面目でしょ」

「先刻の発言からはそうは見えなかったがな」

「社長が『1週間』と云う期限を出しているからね」

「未だ何も判らないし、もしかしたら解決出来ずに1回帰らないと駄目かもしれませんしね」

「いや、そうじゃないよ敦君」

「え?」

フッと笑う太宰。

「早く解決さえすれば残りの期日は堂々と遊べる」

「……そっちですか」

敦が溜め息を着く。

「久しぶりに紬と旅行だからこんな事件、とっとと解決して観光してまわるんだ」

「って紬に云われたんだな」

「その通り。よく分かったねぇ国木田君」

「お前が俺達の云うことをすんなり聞くわけ無いからな。仕事を真面目に熟すと云うことは紬が何か云ったとしか思えない」

「ふふっ。可愛い妹のお願いだからね」

そう云うと太宰はキョロキョロし始める。


「そろそろ紬と合流するかな」


そう云って歩き出した太宰に2人も着いて歩いた


―――

「女性には無料で浴衣をレンタルしております」

「へぇー私みたいな長身でも着れるものはあります?」

「勿論」

従業員に笑顔で云われて「此方です」と指された浴衣を眺める。

「綺麗な色や柄ばかりで目移りしてしまうね」

「1週間も宿泊して下さるので2、3種類選んで着ていただいても構いませんよ」

「有り難いお言葉です」

笑顔を向けて浴衣を見ている紬。


そんな紬に並ぶように誰かが隣にやって来た。
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