第24章 神隠しと云う名の
「ようこそおいで下さいました」
旅館の女将さんが挨拶し、部屋へ案内する。
「男性3名様、女性1名様とお訊きしておりましたので2部屋用意させて頂いてます」
「おー」
広い部屋に通されてウロチョロしている太宰兄妹。
「治ー綺麗な眺めだよ」
「本当だねー」
眺めの良い和室だ。
「女性の方は此方になります」
「はーい」
そう云うとその部屋の向かい側に案内される紬。
それに紛れて付いていく兄、太宰。
「此方はベッドなんですねー」
「はい。和洋折衷の部屋となります」
荷物を置いてベッドに腰掛ける紬。
「何かあれば直ぐにお申し付け下さいませ」
一礼して女将さんは去っていった。
「紬だけベッドなんてずるいね」
「一緒に寝ないの?」
「そう云う問題じゃ無いよ。寝るけど」
既にベッドにダイブしている太宰の頭を撫でる紬。
「扉はオートロックじゃないのか」
「老舗っぽいもんねぇ」
撫でている紬の手を引っ張り引き寄せ、そのまま口付けをする。
「このまま眠れたら幸せなのにねぇ」
「ふふっそうだねぇ。でもそろそろ」
兄の腕にすっぽり納まって目を閉じる紬だが
「だ~ざ~い~~!」
ズカズカと国木田が入ってきた。
「もう時間切れか」
「続きは後でね」
「真っ昼間から何してるんだ!」
「「未だ何もしてないよ」」
「嘘をつけ!!」
「はあ……大丈夫かな」
矢張り、一人だけ冷静な敦は3人を見て呟くのだった。
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