第24章 神隠しと云う名の
「全く下らん。神隠しなど存在するわけがないだろう」
「でも1ヶ月で8人もの人が行方不明になってますからね……」
「ふんっ。どうせ駆け落ちでもしたんだろう」
そう云いながら少し大きめの鞄を抱えて電車を降りる国木田と敦。
「うふふ。温泉だって。楽しみだね紬」
「ここ数日忙しかったからゆっくりしたいね」
それに続いて完全に旅行気分の太宰兄妹が降りてくる。
ブチッ
「おい。これは旅行なんかじゃなく人捜しだ。何処で話が刷り変わった?」
「「え?だって神隠しなど存在するわけがないだろう?」」
「そんなこと俺だって判ってる!」
真顔で首を傾げながら。
しかも何時も通りに息ピッタリで云う太宰兄妹に苛々が爆発する。
「国木田さん落ち着いて下さい!」
今にも噛み付きそうな野犬の様な顔付きをしている国木田を敦が羽交い締めにして制止する。
「いや~落ち着いた雰囲気で良いところだねー」
「あ、お土産物街道があるよ。治行きたい」
「荷物置いたら見てまわろう」
「太宰さん達も落ち着いて下さい」
「「え?」」
一番大人なのは、最年少の敦だった。