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【文スト】対黒

第23章 騙し、見抜かれ、騙されて


ピーポーピーポー……


駆け付けるパトカー。

項垂れながら男達が連行されていく。


「治ー」

「ん?」

その一台から紬と谷崎が降りてきて、歩み寄る。


「乗せて貰ったのかい?」

「うん」

傍に来たのは太宰の洋服を纏った紬。
手にはウィッグを持っていた。

「何で外したの?」

「谷崎君が混乱していたから」

髪をすきながら紬に問う。


パトカーが去っていき、落ち着いた現場。


「「「………。」」」

改めて。
並んだ2人を見比べる3人。


太宰に化けていた為、紬が太宰と同じ身長で。
紬に化けていた為、太宰が紬と同じ髪型で。


完全に双子姉妹にしか見えない―――!


「「如何かしたかい?」」

「「「何でもありません」」」

「「そう?」」


仕草も台詞も同じ。
未だに入れ替わっていた事すら信じられない程だ。

太宰も着けていたウィッグを外す。


「……だからか」

「「何が?」」

国木田が何かに気付く。

「敦に遠隔で護衛を指示したのも、敦が定位置に就いてから太宰が現れた事も、それを怪しまれないように紬が体調不良だと告げた事も、俺の隣に並ばずに2歩下がって歩いていたのも全部入れ替わりを俺達にすら悟られないようにか」

「「その通り。流石、国木田君」」

最初から味方内も欺く気だったらしい。

否、現に全く気付かなかったのだけど。


「「……あの一体?」」

敦と谷崎が挙手して説明を求める。


「「前にも話したけど身長だよ」」

「「!」」


それだけ告げると今度は太宰が何かを思い出した様に紬を引き寄せる。

「ん?何……」


「「「!?」」」

紬が兄の方を向いた瞬間に、口を口で塞ぐ。

そう長くない時間で解放する。

「どうしたの?」

「何でもないよ」

何事でも無いかのように訊ねる紬に、笑いながら返事すると手を繋ぐ太宰。

「何処かで着替えて買い物に行こう」

「!」

その言葉に嬉しそうに反応する紬。


そうして固まったままの3人を残して太宰兄妹はその場を去っていった。
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