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【文スト】対黒

第23章 騙し、見抜かれ、騙されて



何の話をしているのだろう。国木田さんの顔色が悪くなっていっているような……?


遠くから2人を見ながら敦は考察する。


相手を誘い出すために人気の無い道に入ってきたものの……敵どころか誰も居ないなあ。


周りを気にしながら歩いているが、怪しい気配は一切無い。


安堵の息を吐くと、2人に視線を戻す。

「!」

その先に、3人程の人影を捉えた。

紬と国木田も歩みを止める。


真逆、正面衝突!?

「っ!」

敦は慌てて2人の元へ駆け付けた。

「紬さん、国木田さん!」

2人は相手を見据えたまま、動かない。

モゾリ

「「!」」

一軒家程の土人形が姿を現す。

「読まれていたのか」

「その通り。屋外に出るなら妹の方だとね」

「……何故だ」

「兄を大事にしてると噂で聞いてね。ポートマフィア最年少幹部『太宰紬』噂通りの女だ」

「「!?」」

幹部だと!?

敦と国木田が眼を見開く。

「『元』を忘れないでくれるかい?今は探偵社で身を粉にして働いているからね」

「それは失礼」

ピピピピピ……国木田の携帯が鳴る。
電話に出る国木田をチラリと見て

「向こうも罠だった様だね」

「その通り」

やれやれと息を吐きながら呟くと肯定される。


「紬さん、どうしましょう!?」

「正面衝突しかないよ。大方、狙撃手は向こうに手配されている筈だから敵は3人だ」

「何故そう云い切れる」

ピッと電話を切って国木田が問う。

「簡単に殺せるならば既に私達はこの世に居ない。つまり、中途半端な人員で殺しにかかっている訳がない。先刻も云ったが片方殺せれば良い。となれば?」

「狙撃による太宰の殺害の方が効率は良いのか」

「そゆこと。向こう側は殺すことを主としているから此方側の誰かが『機密書類』を持っている筈さ」

「!」

今し方、谷崎からの電話。

正に、此方側の誰かが『機密書類』を持っていると云う内容だった。


「ふふ…ははははは。俺達は殺しを生業にしていた組織の残党だ。貴様ら3人など造作もない」


「!」

土人形が動く。

それと同時に敦と国木田の足が土で拘束される。

「何ぃ!?」

「動けないっ!」

「!?」

ビクともしない拘束。

「余所見をしてる暇など無い!」


土人形が太宰に襲い掛かった
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