第22章 2つ兄妹、違いは?
何を考えても考えを読まれる。
駄目だ。冷静になれ。
……そういえば
「紬、お前、そう云えば」
「居たよ」
「!」
国木田の言葉を遮るように紬が何かを指差す。
少し開いた扉から何かの音が漏れている。
国木田がソッと中を覗いた。
「!?」
真っ暗な部屋でパソコンに向かう女の姿。
写っている画面は『復讐』された女達の映像だ。
「ふーん。自らが編集していたわけか」
「!?」
バッと振り返る。
紬は部屋の入り口側にあった部屋の電気をつけた。
「積まれたカメラの数からすると依頼人も口封じに襲っていたか」
「!」
女の顔が歪む。
「○○の元婚約者の××だな」
「どうしてそれを!?」
女が思わず叫ぶ。
「私が襲われた時に録った映像に映った『ボス』と、我々探偵社に依頼に来た○○が持ってきた映像に入っていた『声』が一緒だったからね」
「声……」
あの時、依頼人が持ってきた映像には、男たちと女の泣き叫ぶ声で聞き取りづらかったが、男たちに指示を出す『女』の声が入っていた。
依頼人は愛しの彼女が在られもしない姿で映っている事にしか気付いていなかったが…。
あまりにも妹に対して怨みを募らせていたのだろう。
「自分と同じ境遇の女の力にでもなった積もりかい?」
「!」
紬の言葉で女の顔に憎悪の念が浮かぶ。
「そうよ……人の女に手を出すような女なんて……」
「まあ気持ちは解らなくもないがね」
やれやれと云わんばかりに息をはいて女を見据える。
「犯り口が温いねぇ」
「!?」
妖しい笑顔を浮かべて云った紬に怯える女。
国木田が呆れて溜め息を着く。
「紬」
「ふふっ。冗談だよ」
ニッコリ笑って答えた。
「お前がしたことは立派な強姦罪だ。間もなく警察も駆け付ける。大人しくするんだな」
「!?」
女が慌てて逃げようとする。
ぽんっ
「残念だが、私も君の悪巧みのせいでブラウスが駄目になったからね。逃がしはしないよ?」
「な……動かない!?」
ニコッと笑って云う紬。
「まあ、治が優しかったから悪い思いはしなかったがね」
「……。」
国木田は何も聞かなかった事にした。