第22章 2つ兄妹、違いは?
「紬、谷崎!無事か!?」
バンッ
乱暴に扉を開けて飛び込んできたのは探偵社一の堅物。
「ん?」
「国木田さん!」
「――ッ!?」
紬と女の姿を見ると直ぐに、首から変な音を立てながら顔を反らす。
男たちから牢屋の鍵を奪い取った紬達は全く動かない男たちをそのままに鉄格子の外に出て鍵を閉め、その場で待機していたのだ。
「紬」
「治」
そのワンテンポ遅れて入ってきた太宰は何の躊躇いもなく紬の元に歩み寄る。
そして手に持っていたトレーナーを渡した。
「着替えとは云ったけど何故治のなんだい?別に構わないけど」
「何でって自分で考えてよ、それくらい」
受け取って直ぐにそれを着ると太宰が紬を抱き締める。
「何をされた?」
「服を破かれた」
「他は?」
「特に何も。頭がいいねと誉められたかな」
「本当にそれだけかい?」
「本当にそれだけだよ。脱ごうか?気が済むまで調べるといい」
「ななななな何を云っている紬!?」
慌てて国木田が止める。
完全に本気にしているのだ。無理もないが。
「心配した」
「悪いことをしたね」
「反省してないだろう?」
「おや。バレたか」
ふふっと笑う紬の顎を持ち上げる。
「理由は後でゆっくり聞かせてもらうとしよう」
そう云って紬の口元に自分の口を寄せる。
「太宰ぃ!?公衆の面前だぞ!?」
国木田はあたふた騒ぎ、ナオミは「まあ!」と顔を赤らめる。
二人の口が重なろうとしたその時
「ちょっと待ちなさいよ!兄妹じゃなかったわけ!?」
下着姿の女が思わず叫んだ。
「「国木田くん、確保!」」
「は?」
「え?」
何が何やら判らないまま国木田が女を取り押さえる。
「ちょっと離してよ!痛いってば!」
女が今までのしおらしさとは打って変わって急に暴れだす。
「何がどうなってますの?」
ナオミがポツリと云う。
「あの女がここ数日、私やナオミちゃんを付けていた犯人さ」
「「!?」」
紬の言葉でナオミと女の両方が、太宰から離れた紬を注目する。
「そして今件の依頼人かな」
「如何してそれをっ……!」
国木田に拘束されたまま驚愕した表情を浮かべた。