第22章 2つ兄妹、違いは?
「紬さん!」
「よく分からないけど。興が削がれたのかな」
破れた洋服をあーあ。と云いながら見つめて云う。
「下着まで破かれなくて良かったよ」
「本当ですわ!」
「高いからねーブラジャー」
「そんな問題ではありませんよ!」
相変わらず暖気に話す紬に思わず突っ込んだ。
あははと笑いながら蹲っている女に近づく。
「君も大丈夫かい?」
「!」
女が思わず顔をあげる。
紬が少し声の音量と、トーンを下げて声を掛けたのだ。
「急に声を掛けたから驚かせてしまったかな?声の音量を下げた積もりだったのだが申し訳ない」
「いえ……そんな」
そっと左頬に触れながら笑顔で云う紬に女は慌てて返事した。そして紬の胸元を見る。
破れたブラウスから覗いているのは黒の下着に覆われた女性の胸。
「如何かしたかい?」
「あっ……いえ……酷い目に遭われたなと思って………」
「君の姿に較べたら大したことないけれどね。大丈夫かい?」
「はい」
「君もあの男たちに連れてこられたのかい?」
「………はい。その…貴方達がくる少し前に……」
女が俯いて答える。
「そっか。取り敢えず、助けを呼ぼう」
「どうやってですの?」
「うん?」
ナオミと女が紬を注目する。
ふふふっと笑ってズボンのポケットに手を入れる。
「勿論、これだよ」
「「!」」
取り出したのは一台の携帯電話。
「犯人たちから一台拝借しておいたのだよ」
「一体何れだけ余裕だったんですの?」
「ふふっ。私は大抵のことでは動じないみたいだねえ」
他人事のように云うと釦を押し始める。
「あ、治かい?」
電話の相手が出たらしい。
紬が話始める。
「なんか変な連中に拐われてね。うん。ナオミちゃんも一緒だよ」
よっこいしょと云いながら座り、此処まで来たルートを伝える。
そんな余裕が何処にあったのだろうか。
「あ、あとついでに上衣を破かれてしまったから着替えを持ってき」
「?」
不自然に途切れた会話を気にして二人が紬を見つめる。
電話を耳元から離す紬の姿。
ツーツーツー………
聴こえるのは電子音。
「切られてしまった。困ったね」
「心配にもなりますよ」
「ははっ」