第22章 2つ兄妹、違いは?
「治に送るのか。それは少々困ったね」
初めて苦笑する顔を見て男達が興奮する。
「なんだ。やっぱり心当たりが有るじゃねえーか。他の女から盗ったんだろ?あ、依頼人がバレてしまうかも知れねえな」
「盗る?何のことだかさっぱりだけど」
「とぼけんなや。治とやらと仲良くしてるらしいじゃねーか」
「当たり前だろう?唯一無二の兄なんだから」
「「「………。」」」
シンッ
「私が結婚するまで、と今まで大事に育ててくれた兄だ。こんな乱暴された姿を見せられた上に、このせいで私が嫁にいけなくなってしまったら治はどうするかな。気にせず好い人と結婚してくれればいいけれど」
「……本当に兄妹だと?手前、名前は……」
「私かい?私は太宰。太宰紬だよ」
「太宰……」
男達がざわつく。
紬を解放すると距離をとり円陣を組む。
確か男の名前も『太宰治』じゃなかったか?
そう云えば写真の男と似てる気が……いや、似すぎじゃね?
どうする?
取り敢えず依頼人に確認して……
「おい!因みにそっちの女は!?」
「私達の母方の従兄妹だけど?」
「「「………。」」」
サラリと付いた紬の嘘を真に受けて再びフリーズする。
そんな時。
「録画の準備出来たぜー」
「うわっ既に楽しんでたの?俺も此方に……って何してんの?お前等」
準備で分かれていた男達がにこやかにやって来る。
「丁度良かった。開けろ。緊急事態だ」
「「はぁ?」」
云われて鉄格子の扉を取り敢えず開ける。
「依頼人が依頼を取り下げた」
「「「!」」」
先程紬に馬乗りになっていた男がポソリと云う。
中に居る3人には聴こえないように。
そんなつもりで紡がれた言葉だったが
「……。」
この声を紬は拾っていた。
「ボスにどうするか確認に行くぞ」
「ちぇっ。結構いい女だからヤれるの楽しみだったのに」
ブツブツ云いながら男たちは全員、部屋から出ていった。
バダン
扉が閉まる音と同時に溜め息をつく紬