第22章 2つ兄妹、違いは?
「取り敢えず、理由を訊くことからかな?」
「んぅ!?」
突然、何者かに口を塞がれるナオミ。
紬も数人の男が拘束する。
細い道を似つかわしくないワゴンタイプの車が通り過ぎ、直ぐに停まった。
ジタバタと抵抗するナオミ。
「大人しくしろ」
「!」
ナイフを向けて脅しながら無理矢理車に乗り込む。
「手前もだ!早く乗れ!連れが殺されても良いのか?」
「ハイハイ。分かりましたよ」
やれやれと云って溜め息を着くと続いて車に乗り込んだ。
椅子が倒してある車中。
ナオミは必死に抵抗するも3人がかりで取り押さえている為、無意味な状態だ。
「ナオミちゃん、落ち着き給え」
「!」
紬の声でピタリと抵抗をやめるナオミ。
「君達も今すぐ私達をどうこうする積もりではないのだろう?彼女を解放してくれるかい?どうせ車中だ。私達には抵抗する術がない」
両手をあげて無抵抗を主張する。
「荷物…携帯は何処だ?」
「外套の中に……」
「触るな!脱げ」
「おっと……やれやれ。いちいちナイフを向けられるなんて心臓に悪いもんだねえ」
焦りなど混じっていない声で外套を脱いで渡す。
両手足を拘束されていたナオミも解放され、荷物を男たちに渡す。
「で?何が目的で何処へ向かうんだい?」
狭い車中で紬にしがみつくナオミの頭を撫でながら訊ねると、男達がニヤリと笑い
「地獄さ」
行き先を告げた。
―――
「きゃっ!乱暴しないで下さい!ちゃんと歩けますわ!」
ガシャーンッ!
広い鉄格子の中に入れられる紬とナオミ。
下衆な笑いをしながら男達も入ってきた。
2、3人だけこの部屋に入る前に姿を消したが4人は一緒だ。
その牢屋の中には既に下着姿の女が一人。
入り口から一番離れた隅に、膝を抱えて座っている。
「……。」
女は此方をチラリと見ると、直ぐにまた顔を伏せた。
「地獄ってこんな近くにあったのだね。それで?私達を連れてきた理由はなんだい?」
そんな女を紬も一瞥してから男たちに声を掛ける。
「俺達はお前達に一切の怨みなど無いんだが、どうも他の奴はあるらしくてよぉ」
「ふむ。成る程。君達が噂の『怨み屋』か」
「もうそんなに有名なのか。光栄だ」
馬鹿笑いしながら男達が答える。