第22章 2つ兄妹、違いは?
―――
「人が多かったですわね」
「広告が入っていたからね」
スーパーの買い物袋を提げて二人で歩いている。
「寮からは少し距離がありますのに態々此方にいらしてるんですの?」
「時間があるときはね」
紬達が買い物をしたスーパーは寮からは少し離れており、道も大通りに面していない細い道を通らなければいけなかった。
昼間でも少し薄暗く、人通りは少ない。
「ナオミちゃんは普段、家事は?」
「大抵は兄様がやって下さいますわ」
「良い旦那さんになるねえー谷崎君は」
「私の自慢の兄様ですから」
ニッコリ笑って答えるナオミ。
そして、ふと紬の視線が外れる事を見逃さなかった。
「……如何かされました?」
「いや。昼間なのにあまり人の気配がないと思って」
「……。あの紬さん」
「ん?」
「もう1つ相談したかった事があるんですの。兄様に云ったら……気が狂うかもしれないから言い出せなかったのですが」
「何だい?」
ナオミの表情が曇る。
「最近、私達の。学生の中で『怨み屋』って云う噂話が絶えないんです」
「へぇー」
此処まで広まっていると云うことは矢張り。
頭では違うことを想定しつつもナオミに向ける表情は何時も通りだ。
「何でも女性に性的暴行をはたらいて、その映像を愛しい人に送りつけると云う悪質極まりない事を代行するグループらしいのですが」
「それとナオミちゃんが何か関係しているのかい?」
「いえ…私は恋人など居ませんから。けれどここ数日」
「誰かにつけられている、と」
「!」
紬が核心めいた事を云ったため、思わず歩みを止めるナオミ。
「怨みなんか何時、何処で買うかも分からないから少し不安で」
「いつ頃から?」
「数日前からです。そう云えば偶々、太宰さんとお会いして一緒に帰宅した時は何も感じなかったからその後からかもしれません」
「一週間程前にも一緒に帰ってきてなかったっけ?」
「はい。その時はもうハッキリとつけられている事が判ってました」
ふむ。考え込むように袋を持っていない手を顎に当てる。
矢張り、治絡みだな
自分もナオミと同じ状況にあることをふまえて結論を出す。
「紬さん、どうしたら良いでしょうか」
「そうだねえー」
そう返事をして立ち止まる。