第22章 2つ兄妹、違いは?
「おい、太宰?」
「何?」
「何処に行く!?」
「勿論、犯人探しに」
ニッコリ笑って返事する。
「国木田君はあの男にも非があることを説教しておいてくれ給え」
「……判った」
太宰は事務所から出ていく。
「却説と」
外に出ると携帯電話を取り出した。
―――
「女の子と出歩く事なんてあまり無かったから新鮮だ」
「そうなんですね」
ふふっと笑いながらナオミと話す紬。
二人が居るのは、とあるカフェ。
太宰と帰った翌日にナオミが誘ったのだ。
太宰の云う通り、紬は断らなかった。
どこか緊張してしまっている気がしてならないナオミは息を少し長めに吐いた。
そして聞きたかったことを頭に思い浮かべる。
「紬さんは太宰さんと仲が良いですよね」
「そう見えるかい?」
「見えますわ。普段もそうですが、紬さんとお話したいって太宰さんに云ったときも紬さんじゃないのに『誘ってみたら?断ったりしないよ』って云ってました」
「あはは。治が嫌では無いことを私が嫌に思うことは無いからね」
「!」
目を見開いて驚きを表すナオミ。
「如何かしたかい?」
「太宰さんも……全く同じ事を云ってました」
「そうか。まあ何時でも驚くのは周りだけで、私達にとっては特別なことでも特異なことでもないのだけれど」
目の前に置いてあった紅茶に口を付けながらサラリと云う。
「どうしたらそんなに仲良くなれるんですの?」
「私達みたいになりたいのかい?」
紬の言葉にコクリと頷く。
フム。と云いながらカップを置いた。
「何が不満なんだい?」
「え…?」
「私達、第三者の目からみれば君達兄妹は十分仲良しだ。本当に兄妹か怪しいほどに、ね」
「……。」
ナオミが口を閉ざす。
「それに対して私達兄妹は物事を捉える考え方や感覚が似ている……と云うより同じなのだよ。息ピッタリの発言をしたり、行動したりするのは『兄妹仲』と云う曖昧なモノではなくて『洞察力』からきているものだ」
「……。」
くるくるとカップの紅茶をかき混ぜながら話す紬。
ナオミは未だ反応を返さない。
「要は物事の見解が似ているだけだよ」
「……。」