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【文スト】対黒

第17章 沈黙の塔、鴉の宴


―――

「紬」

「判っているよ……今夜も寝不足か」

「来なきゃ善かったじゃないか」

「そういう訳にもいかないだろう。治の扱いが雑なのは判りきっているからね」

「……既に不愉快」

「社長の交渉が無駄になるだろう」

「他意は?」

「無いとは言い切れない」

「ほら見ろ」

詳しく話し込まなくとも、この単文だけで互いの凡てを理解する兄妹が歩いているのはとある雑木林。

その雑木林が急に開ける。


目の前に在るのは1つの小屋だった。

「あれがQの監禁施設か」

「うん」

何処からか調べてきた紬が頷く。

カッ!

「「!」」

急にライトが当てられて思わず目を瞑る。

ザッ!

そして現れる人の気配。

「こんばんは」

にこやかに挨拶がやって来る。

「うちの作戦参謀は敵行動の予測が得意なもので」

「……罠か」

太宰が声を掛けた男のほうを向いて呟く。

「だからあの時、『参謀』を引きずり出して始末しておけば良かったのに」

「そう云えばそんな案を提案してたね。誰が実行する予定だったの?」

「勿論、ポートマフィア」

「乗っとけばよかったかなあーその案」

暖気に話す兄妹をポカンと見ている男達。

「何……何の話をしてる?」

「さあ?でも髪の長い方は罠だと判っていた様な素振りだよね」

銃を構えながら太宰たちとの距離を詰める。

「………はあ」

「溜め息を付いた分、赦してくれたらいいのに」

「赦せないほどの事が更に増えるからプラマイプラスだよ」

「それは困ったねえ……だから私が動くと云ったのに」

「紬が動くと組合全滅じゃ済まないでしょ」

「ふふっ。それはやってみないと分からないね」
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