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【文スト】対黒

第17章 沈黙の塔、鴉の宴


「マフィアの首領は来ると思うか」

「来るでしょう」

太宰が断言し、

「「社長を殺す絶好の好機ですから」」

二人揃って理由をハッキリと告げた。

重なる声のせいか、言葉に重みが増す。


「構成員同士で延々血を流し合うよりは善い」


そう告げると自室へ下がっていった。

それを見届けてソファーに座る2人に視線をやる国木田。

「……おい太宰達、説明しろ。マフィアの首領と……密会だと?」

「そうだよ。敦君の着想から豪く大事になったものだ。幾ら組合が最大の脅威になったとは云え……」

「待て待て待て!」

説明を求めた筈なのに付いていけずに言葉を遮る。

「何が何やら……第一、何故お前等が密会の手筈を整えている?」

青褪めた国木田に対し

「「元マフィアだから」」

ニッコリと満面な笑みを浮かべて前職を告げる。

「「国木田君以外はみんな知っているよ?今や」」

衝撃の事実だったのか国木田から色が抜ける。
動きもなくなった。
………まるで石のようだ。

「国木田君?」

太宰がつんっとつついてみる。

バタァン!

軽い衝撃で倒れ落ちた。

「……紬?」

「私は何もしてないよ?知ってると思うけど」

そういって国木田を二人で眺める。


「「国木田君には刺激が強かったみたいだね」」

―――

とある時間とある場所―――

太宰兄妹は並んで腰かけている。

「治」
「!」

何かの気配に気付くのも同時。

「「ようこそ首領」」

立ち上がって気配の方に話し掛ける。

「四年振りだねぇ」

ニッコリ笑って告げる男、森鴎外。

「私が購ってあげた外套はまだ使っているかい?」

「「もちろん、焼きました」」

2人揃って告げる言葉でも笑顔を絶やさない森。

「ポートマフィア首領 森鴎外殿」

「武装探偵社社長 福沢諭吉殿」

両者が歩み寄る。


お互いが連れてきている構成員にも緊張が走る――

「竟にこの時が来たな」

「探偵社とポートマフィア。横浜の二大異能組織の長がこうして密会していると知ったら政府上層部は泡を吹くでしょうねぇ」

「単刀直入に云おう。探偵社の或る新人が貴君らポートマフィアとの「同盟」を具申した」

「ほう」

話に関心があるのかないのか。
端的に相槌を打つ森。
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