第10章 連続爆破事件
その姿を見て驚きを隠せない国木田とナオミ。
「敦、太宰……それに紬も?」
相変わらず、そっくりな双子は、
「「国木田君が本気で打ちひしがれてるなんて滅多に無いから記念写真でも撮っておくかい?」」
何時もの調子で国木田をからかうと、そっくりな笑顔を二人に向けて、云った。
「ナオミさん!大丈夫ですか!?」
「ええ……でも…」
敦がナオミに駆け寄る。
無事を告げて状況を説明する。
そうして男たちと対峙する太宰兄妹に注目する。
「生きてたんだねえ、太宰さん」
あんなに太宰を警戒していた筈なのに男は動じない。
このタイミングで太宰が現れる事も予想していたのだろう。
「他殺は趣味じゃないからね」
太宰がヘラッと笑って手を伸ばすと、壁が砕けた。
「ははっ。今更現れたって遅いよ。暗証番号は12桁。それも適当に打ったから僕たちですら判らない」
「「!?」」
男の言葉に国木田、敦、ナオミが絶望したような顔になる。
タイマーは丁度、1分を切ったところだった。
「どうする!?太宰!」
「え?止めるけど?」
太宰が振り返って国木田に答える。
まるで、大したことではないかの様に――。
「どうやってだ!!」
その暖気な返事に苛立ちを覚える国木田が思わず怒鳴る。
太宰はふふっ。と笑うと紬の方を見た。
釣られて三人も紬を注目する。
紬は主犯の男に近付いて行く途中だった。
「君がこの一連の事件の参謀かい?」
「ああ。そうだ。そして神に成る男だ!」
男が再び高笑いを始める。
紬がふーん。と云い、機械に近付く。
「一寸、話があるから待っていてくれ給え」
満面な笑みで男に告げる。
10秒前……
「今更何が出来るって云うんだ……」
男がぼやくと同時に紬が口を開いた。
「『終焉想歌』」
「「「!?」」」
異能力者!?
太宰以外の全員が目を精一杯、見開く。
そっと手を伸ばした紬が機械に触れた瞬間
ピ…………。
「……嘘………だろ」
タイマーのカウントが止まった。
「「「…………。」」」
シーンとする空気。
その中で動いたのは紬だけだった。