第10章 連続爆破事件
「飲み込んで無かったのか」
「当然ですわ」
自慢気に返事するナオミ。
「残念だなぁー…」
男がふぅ、と一息吐きながら呟き、
「「!」」
ニヤリと嗤った。
ビービービー!
「!?」
突然、警報の様な音が部屋中に響き渡る。
慌てて男と間合いを取り、ナオミの前に立つ国木田。
「何だ!?何が起こった!?」
それまで青色だったカウンターの色が赤色に変化する。
何回か激しく点滅すると
『00:05:00.00』
と表示が変わり、カウントを開始した。
「5分だと!?」
国木田の声に焦りが混ざる。
「あーはっはっは!」
男の高笑いが部屋に響く。
「こうも予定通りに事が運ぶとはね!矢張り君は最高だよ!」
「貴様ァ!」
「おっと!」
バチッ!
「くっ!」
「国木田さん!!」
見えない壁に阻まれ、後方に弾き飛ばされる。
「まあ僕の描いたシナリオは、大勢の犠牲より一人の犠牲をとった国木田さんが彼女の腹を捌いて鍵を取り出して解除に向かう……だったんだけどね」
「!」
そのために誘拐されたことを知ってゾッとするナオミ。
「まあ少々予定は狂ったけどいいさ。次は、警報装置が作動してタイマーが5分を告げ、どうすることも出来ずに絶望した顔のまま国木田さんは自殺するっていう展開なんだけど」
「クソッ!」
鍵で解除も見透かされていたのか!
「因みに此れを解除するには12桁の暗証番号が必要だ」
「!」
それを聞くと懐から電話を取り出す。
乱歩さんに聞けばッ……!
「無駄だよ」
「!」
圏外!
クソッ!妨害電波か!
携帯を叩き付ける。
「国木田さんっ……!」
考えろ……考えろ!
一体どうすれば……
国木田が焦る姿を見て満面の笑みの元官僚の男。
「あ、さっきの答えだけど」
「あ?」
「神様か何かに為った積もりじゃない。今から神様になるんだよ」
「!」
この男は…!
「もう3分を切ったね。今からお仲間が来たとしてももう間に合わない」
ふはははっ
愕然とする国木田に寄り添うナオミ。
そんな絶望感が漂う空気の中。
「へぇー愉しそうな場面に間に合ったよ紬」
「本当だねえ。こんな機会、滅多に無いだろうしねぇ…治」
「「!?」」
暖気な声が入り口から入ってきた。