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【文スト】対黒

第1章 再会


「まあ仲は良いだろうね。」

「端から見れば。」

「え?」

視線をナオミに戻して答える。

そして、ハッキリと告げた。

「「君達、兄妹よりも危ういのだよ 私達は」」

「え………。」


自分達の事を「危うい」と告げられたようなものだ。

指摘されたように他の兄妹よりも仲は良い。

本当に兄妹か疑われたことすら有る。


自覚は、ある筈だ。

それをハッキリと指摘されて困惑しているのか。

唯唯、答の意味が判らないのか。


ナオミの顔が驚愕の色に染まる。


「「ふふふ。」」

その顔を見て何時もの調子に戻る太宰兄妹。


「要は君達よりも仲が良いと云うことだよ。」

「只、自慢したかっただけだ。他意はないさ。」


「………二人揃うと意地悪さが増しますわ。」

その言葉に安堵したと同時に、ムッとするナオミ。

「私と兄様の方がずっと仲良しですもの。」

プイッ

対抗して外方向くナオミの頭を立ち上がった紬が撫でる。

「ふふっ。きっとそうだよ。兄妹喧嘩など一瞬だろう?」

「大抵は兄様が折れますから。」

クスクス笑って答えるナオミ。

そうか。と云うと頭の上の手を降ろす。


「それならば、私達の様になっては駄目だよ。」


「え………?」

困った様な笑顔を浮かべながら小声で告げた紬。

太宰が横目で此方を見ている。


どういう意味?


聞き返したかったが、出来なかった。


「太宰。」

「やー国木田君だっけ?調子は如何かな?」

別の声に遮られたからだ。


紬は国木田に応じる。

何時もの太宰と同じ様に―――。

「調子は何時も通りだが、気分は最悪だ。」

「それは大変だ。治、この場合は如何するのが適当なんだい?」

「国木田君は理想に焦がれたロマンチストだ。何かそれらしい発言でもしてあげたら気分が一気に向上し、気持ち悪い笑顔を浮かべながらスキップを…」

「するか!!何だ貴様らは!一人でも厄介なのに二人揃うと厄災そのものに成るのか!?」

「「照れるね」」

「誉めたりなどしておらん!」

全力でツッコミを入れる。

はー。本当に最悪だ。等と呟いて紬に向き直る。

「社長がお呼びだ、付いてこい。太宰、お前もだ。」

「私も?」

3人は事務室を後にした。


ナオミは未だ考え込んでいた――。
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