第10章 連続爆破事件
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太宰は動けない…
…敦……お前がしっかりするんだぞ
国木田は残してきた二人を思いながらも全力で走っていた。
あの男が此方から来たと云うことは此方で合っている筈!
「!」
そして、少し開けた場所に出る。
辺りを窺う国木田。
「今晩は。」
「!」
突然、部屋が明るくなる。
「探偵社社員、国木田さん」
「お前は……」
此の男も矢張り見覚えがあった。
「そうか。貴様が参謀か……元官僚の爆弾魔」
先程の男と同様に探偵社が捕まえた犯罪者。
元警察官僚であったこの男は、その時起こっている事件を元に「隙が出来ている」場所を狙って爆破事件を起こし続けていたのだ。
「覚えていてくれて嬉しいよ。どうだった?僕の復活祭は?」
「復活祭だと!?巫山戯るな!貴様の身勝手さが何れだけの犠牲を出していると思ってる!?」
「さあ?そんな小さいこと知らないよ」
「………っ!」
要は狂っているのだ。
民衆を守る立場に居ながら民衆を殺す事を至福とする狂人。
その上、頭が良いが故に厄介な人間だ。
「まあ、これを見てよ」
「?」
指差されたのは1つの部屋。
どうぞと手招きをされ
「……。」
国木田は黙ってその部屋に入る。
男も続いた。
「!?」
部屋に入って直ぐに目に入ったのは大きな画面に大きな機械。
そして、その前に立っている独りの男。
画面に表示されてるのはカウントダウン……
直ぐに時計を確認する。
どうやら0時までのカウントダウンのようだ。
「君達の都市が浄化されるまでの時間だよ」
「糞っ!止めろ!」
「それは無理な話だね。止めるには解除鍵が要る」
「解除鍵だと!?」
何だ……?以前も……
国木田は急に既視感を覚える。
「彼女も知っていると思うけど君達に捕まった『ハッカー』だ」
「谷崎!」
そう紹介された女よりも隣に座っているナオミに目が行く。
然し、呼び掛けても返事が無い。
眠らされているようである。
参謀の男は画面の前に立つ男の隣に移動するとナオミをあっさりと国木田に引き渡す旨、告げた。
「……何を企んでいる?」
「君が鍵と云ったのだろう?」
「!?」
ナオミを見て、1つの考えが浮かぶ。
「真逆……」
「そう。その真逆」
男は不敵に笑って
「鍵はその子の中だ」
静かに告げた。